結論
中小企業診断士、中でも企業内診断士は、ニッチな領域で深めていく差別化集中戦略で、稼ぐための領域を定めることで、稼ぐことができます。なかなか大変ですが、企業内診断士として、2足の草鞋をやっていくことはできます。この記事を読めば、理由が分かります。
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どういった方向けの記事?
中小企業診断士、特に企業内診断士って、どういった活動ができるものなのか?中小企業診断士を目指す方、受験を悩んでいる方向け記事です。
企業内診断士(中小企業診断士)としての活躍の機会
中小企業診断士の活躍できるフィールドや機会は今後も増えていくと考えられます。
理由は以下の通りで、診断士としてのテッパンのフレームワークのSWOT分析での、「機会」および「脅威」を軸に見ていきたいと思います。まずは「機会」から。
機会①:コロナ禍で、リモートワークが進展し、働き方が多様化している
この2年以上の新型コロナウィルスの感染拡大により、世の中の働き方が大きく変わりました。身近なところでは、中小企業診断士の理論研修は、コロナ禍前では、実際の会場まで足を運んで、受講が認められたものでしたが、今ではオンラインが普及、当たり前になりました。
また、中小企業向けの、補助金・助成金においても、リモートワークへの移行を支援する施策も多数あります。
参考 東京都:「テレワーク促進助成金」(申請の受付期間は令和3年5月10日(月)~ 令和3年12月24日(金))
こういう補助金申請における、経営計画の立案や、申請全般に関するコンサルティング業務も中小企業診断士や企業内診断士が得意とする仕事のため、テレワーク、リモートワークの浸透により、時間の限られる企業内診断士として、働き方や、求められるサービスニーズとしても、活躍の場が広がっています。
機会②:国の方針として中小企業診断士増を目指している
国も、中小企業診断士を増やそうとしています。特に、1都3県を中心に中小企業診断士は多く所属しておりますが、中小企業が数多く所在する地方圏には、診断士が不足しているともいわれています。
そのため、実際の取り組みなどとして、中小企業診断士を増やすような取り組みとして、以下などの取り組みが行われています。
試験の難易度が易化傾向にある
参考:中小企業診断士試験 申込者数・合格率等の推移(PDFが開きます)
令和に入ってからは、1次試験の合格率は、30%を超えており、1,2次掛け合わせで4%といわれていた中小企業診断士合格率は、最近では、6~7%程度になってきているといえます。
経営を担う専門職としての価値を高めるため、1次試験合格者や更新研修の受講者に対して新たに名称を付与
機会③:経営に関する課題が多様化
数年おきに、経営に関する課題は変化、多様化し、最近では以下のような当たらしいテーマが重要視されています。
・感染症対応・事業再構築
・ブランド構築
・小規模事業者における見直し
・デジタル化
経営課題は毎年、その時にトレンドや社会情勢により変わっていきます。ついこないだまでは事業承継だ、といっていたものが、今では、DX、アフターコロナ、テレワークなどと、移り変わっているのです。
企業の経営課題を解決する立場である中小企業診断士として、「経営課題の変化」=「診断士としての新たな事業機会」となります。
流行に合わせた仕事を狙うことができるのが、診断士の機会になっていくものととらえられます。
企業内診断士として活躍する上での脅威・阻害要因
中小企業診断士の機会が広がっても、企業内診断士で稼ぐのは難しいものです。今度は「脅威」と「制約条件」から整理してみます。
脅威①:独立診断士が日々、本気でコンサルを行っている。
機会でも記載した「補助金・助成金」という制度において、中小企業診断士として、経営診断や経営計画の策定支援という業務があります。これらの業務は、企業内診断士としても、取り組みやすい仕事の一つです。
ですが、それは、本業の診断士においても同じこと。企業内診断士が単に、何かに申し込めば、口を開けて待っていれば、回ってくる仕事ではありません。
自らネットワークを広げる、または本業の診断士の方とお仕事をご一緒する、など人脈を広げつつ、そういったビジネスにつながるような活動が必要となります。
脅威②:診断士の数が増えている
毎年新しく1000人程度、中小企業診断士が合格、登録されています。
辞める方も一定数いるかと思いますが、60歳定年という制度はないため、差分を考えても、中小企業診断士全体は毎年増えており、その点、マクロ的に稼ぐという点でいえば、競争相手が毎年増えているということになります。
阻害要因①:本業との時間、労力のかけ具合の兼ね合い
これが一番ハードルとして大きいです。私も2022年転職したばかりですが、本業は忙しく、なかなか副業まで手が回らないのが実情です。
そのため、モチベーション向上と取り組みを継続できる仕組みづくりが必要になると思います。また本業の効率化、残業時間低減も必要と思いますが、私はできていません。。。
仕組みづくりですが、これまでのまだまだ発展途中ではありますが仕事のためのネットワークの構築とそこからの受注、業務を一緒にやるチームとの定例による進捗会議や、情報共有を行うことで、ある程度自動で、副業プロジェクトが動くようにはできてきています。
企業内診断士・中小企業診断士が稼ぐために
まだまだ、私も道半ばですが、以下2つが稼いでいくためのコツです。
コツ①:コンサルスキルを磨く
中小企業診断士、企業内診断士はもちろん、職種は経営コンサルタントですからコンサルティングスキルが大事になってきます。
とくに、私のような、もともとコンサル未経験の診断士としては「経営コンサルとしてのアウトプット」の経験が少ない人が多いです。
だからといって、コンサル未経験だと、中小企業診断士になってもコンサル業務ができないのか、というとそんなことありません。そうだとすると、全てのひとが本業・独立診断士にならないと、この資格は意味がなくなってしまいます。
お勧めは、実務補修や理論研修で学んだフレームなどあれば、それを本業に使ってみるというのが、実践となります。時間ある方は、実務補修をバンバンやればいいと思いますが、時間がない方も多くいらっしゃいます。そのため以下のような機会があれば、ぜひ、トライしてもらいたいです。
・事業部の3年の中期計画を立てる、ワークショップの開催
複数メンバー(マネージャー)いる場合のファシリテート(PEST分析やSWOT分析をみんなで行って、ディスカッション、合意形成)
・独りで事業計画立案
自ら手掛けるプロジェクトや広告、投資において、かけた費用がどのように収入につながるのか、収支計画や、NPVを策定する
・人材育成計画の立案
所属する企業、事業部における若手社員の育成プランの立案、実行する。
全ての機会があるわけではないのですが、チャンスがあれば、所属会社でも経営に関する取り組みにトライしてみてはいかがでしょうか。
コツ②:専門分野を磨く
企業内診断士で、稼ぐなら、専門分野を磨くのが良いかと思っています。差別化集中戦略です。なぜなら、企業内診断士は、時間がないし、時間がない中で、専門分野ではない領域では、単価もなかなか低いままです。
私は、Webを専門分野としており、主に、大手の企業でも提供しているレベルのデザインおよび、高品質なWebおよびCMS機能を組み合わせたコーポレートサイトやプロモーションサイトを、経営課題を踏まえつつ、低価格かつ、補助金も利用できる場合は、それも利用していただくといった、フレームを提供しております。
たとえば、「自社製品をECで販路拡大したい」と考えている企業に対し、以下2案で提案した場合、
専門性弱=PLAN①
経営全般の知識、マーケティングに関する知識も、試験勉強や実務補習で学んでおり、解決策を企画することができます。
専門性強=PLAN②
中小企業向けに、洗練されたデザインができるチームもいる、経営課題の解決にもつながるWeb関連のコンサルティングを行っています。Webサイトの開発、システム開発、および、ECモールでの商品展開なども踏まえ、SEO対策まで一貫したサポートができます。
PLAN②のほうが、専門性高く、一定の結果を得られそう、と評価がされるかと思います。専業・独立診断士ももちろん同じかと思いますが、特に企業内診断士は、特定分野に特化したスペシャリストになるべきと考えます。
以上、企業内診断士としての可能性と、稼ぐための方向性となります。