中小企業診断士資格試験対策予備校として、名前を知らない方はいないのではないか、というくらい、メジャーな予備校のTAC。
こちらの記事では、少し昔になりますが、私が数年受けてきた上での、TACの中小企業診断士講座の効果に対しての満足度、他社との比較した際の費用や、1次試験、2次試験での効果、その他メリット(他予備校でもあてはまるものあるかも)などをご紹介。
TACの中小企業診断士講座の特徴
- リアル通学の予備校という点で、受講費用は高い(主に通信講座やアプリとの比較)
- 1次試験対策:合格のノウハウで、しっかりと編集されたテキストと、通学通信講座カリキュラムで学習可能
カリキュラムにのっとって真面目にやれば、1次試験はかなりの確率で受かる。。。はず - 2次試験対策:講師によってスタイル、解法が異なり要注意。自分にあったものをしっかりとリサーチ、見極められればかなりお勧め。添削指導も講義、添削フィードバックなど充実
こんな人におすすめ
- 独学で勉強しようとしているが、継続できず、受験するまでのレベルに到達できていない人
- 平日夜、土曜日に通学ができるだけのプライベート時間がさける人。
- 周りに勉強仲間やメンターがいたほうが、勉強を進めやすい人。
※逆にこんな人にはおすすめしません
- とにかくコストを抑えたい
- 決まった時間帯にまとまった時間かけて勉強することはできない
- 勉強において、人との連携をしていくのは煩わしい
TACの中小企業診断士講座の概要
まずは、TACの中小企業診断士の特徴、概要は…
2022年度、第2次試験合格者数は、169名(合格者総数1625名、TAC生割合10%強)。
受講者総数が多い理由もあると思いますが、この高い実績は、いつどの科目を勉強するのか、時期・タイミングなど、学習効率を考慮したカリキュラムと、質の高い講師の方たちの指導力から、高い実績につながっているのではないでしょうか。
また人気講師による授業は、講座がわかりやすい、面白い、勉強もはかどるなど、勉強をより前向きにやるための底上げ効果があるように感じます。
- 1次・2次対策共通:内容が、しっかりと試験に向けてテーマ整理されたオリジナル教材。通学も通信講座も用意されていて、柔軟に受講可能。
- 2次対策:通学の場合は、事例解説講義および、添削のフィードバックや、評価判定などの指導が充実している。
- 財務・会計:財務会計にも注力。受講生向けに独立した講座なども。やりこむことで苦手科目ではなくなる教材がある。
TAC中小企業診断士講座の費用を他社比較
TACの中小企業診断士講座の通学講座と費用
コース名 | 対象者 | 税込価格 |
1・2次ストレート本科生 | 初学者で1・2次ストレート合格を目指す方向け | 300,000円 |
1次本科生 | 「まずは1次試験合格を目指す!」という方向け | 260,000円 |
2次本科生A | 2次試験対策に特化した受験経験者向け | 250,000円 |
以上の表から、主要な講座は25~30万円の受講費用。私は通学で、1・2次ストレート本科生と、2次本科生 +αを受講したので、60万円以上をかけましたが、初期投資としては、さほどの負担とは感じていません。時間をかけ過ぎたことが、もったいなかったな、とも思う点はあります。
なお、上記の「1・2次ストレート本科生」、他社予備校の類似するコースと費用比較すると以下です。
予備校 | コース名 | 税込価格 |
TAC | 1・2次ストレート本科生 | 300,000円 |
LEC | 1次2次プレミアム1年合格コース (通学/通信Web) | 264,000円 |
資格の大原 | 1・2次合格コース | 298,000円 |
KEC | 1次・2次ストレート合格マスターコース | 327,800円 |
もちろん、通信専業予備校、アプリと比べると高額ですが、予備校と比較した場合、TACは主要な予備校と比べても、高い印象ありません。
TACへの入学を決めた当時の私は、説明会や内容比較など綿密に行ったわけではなく、申し込み前年にTACのテキストを買って勉強し始めていたため、その流れでTACを選びました。ですが、時間に余裕があれば、通学をする方は、上記4校の資料請求をして、比較することをお勧めします。
費用負担軽減に、教育訓練給付制度を利用
資格試験などスキルアップに、教育訓練給付制度という、一般訓練給付金の支給を受けられる制度があります。企業に勤務・在職の方の、スキルアップを奨励する目的の制度で、雇用の安定に寄与するための制度です。この制度を活用すれば受講費用の20%が還元されるため、条件をクリアできる方は積極的に活用するべきです。なお、TACでも、一般教育訓練給付金支給の対象講座があるので、申し込みの際は、確認、検討してみてはいかがでしょう。私も10年以上前ですが、当時5万円程度の給付金を受け取りました。
TAC中小企業診断士講座のカリキュラム・テキストへの所感
効率的な学習を実現するカリキュラム
初心者でも、現実的に中小企業診断士の1・2次試験に合格できるようなカリキュラムを組んでいます。
ですが、1,2次ストレート合格するのは極めて至難の業。当時1年目で、通学クラス、知人の中で、初学者でストレート合格したのは、ほんの数名のみ。優秀な方でもストレートでの2次試験合格はなかなか難しかったような印象を受けました。
かなり狭き門、難関ではありますが、やってやれないカリキュラムではありません。途中で挫折する方もいましたが、独学でのストレート合格は、よっぽどの条件がそろっていないと、困難であると思えば、初学者でストレート合格を狙うには、現実味あるカリキュラムといえます。
傾向の変化にも対応した、最適化された講義内容
TACでは、基本テキスト、演習テキストなどの各テキストは試験傾向や法改正をその都度反映した最新版になっています。試験ではよく直近の法改正や関心度の高い話題が出題されるので、得点力を高めるために効率よく学べる内容となっています。この改正点などについては、多年度受験していると、変更点などへのアンテナを張ったり、気づけたりするものですが、初年度は、とにかく詰め込むことが多くて、法改正や傾向変化など、気づく由もありません。
その点、テキストが反映されていることはもちろんのこと、講師の方からも、緩急つけて、こういった点も教えてもらえることはとても大きな点です。
豊富な工夫がなされた基本テキスト
基本テキストは基本講義を受ける際に使用するテキストで、合格するために欠かせない要素が盛り込まれているため、初学者の評判も高いといわれているようです。
主に、体系図など、学ぶべき内容の全体像を把握しやすく、特に注意すべき点も書かれているため、各章ごとの学習すべき目的を意識しやすい構成となっています。
ですが、受講で利用する基本テキストと市販の「TACの最速合格のための スピードテキスト」は、当時は内容がほぼ同じだったとおぼえており、独学でもスピードテキスト活用で、同じような内容の勉強が可能です。ですが、合格を効率的に狙っていく場合は、初学者には、かなり難しいでしょう。
早期からの2次試験対策
TACでは、早い段階で1次試験と並行して2次試験対策に取り組むカリキュラムとなっています。早い段階から2次試験対策に取り組むことで「2次試験とはどういう試験なのか」「2次試験では何が求められるのか」を把握することができ、2次試験の全容を学べるメリットがあります。
ですが、ここは評価が分かれるところではないでしょうか。1,2次ストレート合格めざすなら、上記はマストです。
しかし、ストレート合格はラッキーパンチ程度で狙うのであれば、1次対策のみ完全に8月までやりきって、採点結果1次合格していそうであれば、急ぎ2次対策始めるのでいいのではないかな、と今なら思います。
2次試験対策としてはきめ細やかな添削指導
2次試験は独学での対策が難しい特徴があり、私は通学、独学、勉強会参加など、いろいろ試しましたが、多年度にわたり対策に悩まされました。
TACでは2次試験対策のサポートも充実しており、添削指導を講師から直接受けることができます。この添削指導を受けてフィードバックをもらうことで、その時点の問題点や、改善すべき方向性を把握することができます。
また、この添削課題の採点は毎回の演習ごとに採点・集計しているため、自分の実力を客観的に把握することにも繋がります。
ですが、このTACメソッド。自分に、はまらず有効な回答がかけない人には、ただただ苦しい2次試験連続チャレンジの道になってしまいます。
もし、TACで2次試験対策進めていく場合は、自身にあった講師を見つけて、その解答法で再現性の高い答案フレームを作れそうか、見極めながら、やっていく必要があると思います。
TACの中小企業診断士講座の実績は圧倒的
TACの中小企業診断士の2次試験の合格実績は、2021年度・200名で、他の予備校や通信講座は合格実績を公開しておらず、実績公表できる点からもTACは非常に信頼できると思いますし、私はTACに通っていなかったら、1次試験を3回も合格できるだけのレベルにはならなかったと思います。
この背景には、練られた効率的なカリキュラムを組むことにより合格に必要な知識を身に着けることができる仕組みが整っている点が挙げられます。
TACの通学講座のおすすめ活用法
講師に気軽に質問できる環境が整備
TACでは受講生に寄り添う環境が整備されており、気軽に質問することができます。教室講義では講義の開始前後で講師に質問できる時間があることから、疑問があってもすぐに解決することができます。
質問を定期的にしていくことで、講師の方とも仲良くなれますし、講義の場を離れての関係性や、診断士試験合格後に、講師・受講生ではない、診断士同士の関係にもつながっていきます。講師の方たちは、診断士界隈でも割とネットワーク広い方が多い印象です。
講義外での活動をフル活用すべし
教室講義では、毎回顔見知りの方が徐々に増えていき、また、講師の方により異なりますが、たまに懇親会のような集まりがありました。その場では、モチベーションの高い方たちが参加しており、意見交換や、勉強会の発足などにつながっていきます。
こういった、横のつながりを活用した、モチベーションの維持向上や、広い情報収集を行っていけるのが、多くの受講生があつまる教室通学講座のメリットですので、このようなネットワークはぜひ広げてほしいものです。
おすすめの受講コースプラン
これまでの経験を元に、TACで、もし初学者として中小企業診断士講座を受けるとしたら、どのように受けるべきか、プランニングしてみました。
何が何でも1年で1,2次ストレート合格
対象 | コース名 | 特徴 |
初心者 | 1・2次ストレート本科生 | TACのスタンダードコース |
正直、かなり確率は低いですが、基礎からしっかりと学習できる「1・2次ストレート本科生」コースで、ストレートを目指す。
近年、1次試験の合格率が、30%台を超えているため、ストレート合格率としては、6~7%程度はあると思いますが、100人いたら、6、7人うかるかどうか、です。
自分が、その6、7人に入る自信がある、その意気込みがあるという人は、「1・2次ストレート本科生」コースがよいと思います。ただ、私が今からやるなら、お勧めしないです。その、6,7人にはいれるかは、リスクが高すぎると思っています。ダメだった時の心理的ダメージがでかすぎて、そんなダメージを受けるリスクをわかっていながら、この賭けにはでられないです。
【おススメ】まずは1次試験を突破。2,3年で2次試験合格を目指す
対象 | コース名 | 特徴 |
初心者 | 1次本科生 | 1次試験合格を目指すスタンダードコース |
これが私的にはテッパンでしょうか。1次7科目1年でやるだけでも、かなりつらいです。だけど、これを突破できるまでの勉強をまずはやって、勉強2週目から科目を絞って4科目のみやる、などがいいと思っています。
今の私なら、経済学、財務会計、運営管理、この三つと、あとは合格狙えそうな科目で、合計4科目。
翌年、3科目合格と、2次試験の本格勉強を行う。この際、2次試験をTACでやるかは、初年度によくよく、有名勉強会などに参加し、諸先輩に意見を聞いたり、講師の方のヒアリングをしたりで、自分にあいそうな勉強法や講座を探してみてください。
総括
独学で勉強が進まない人は、是非とも通学してほしい
TACは知名度も評判も高く、優れた合格実績を誇っています。そのため、
- アプリなどで時間を効率的に勉強したいという志向は強くない
- 合格する確率を上げたい
- 早期合格のためならば、多少の金銭的な負担も致し方ない
という方であれば、TACに行くべきです。私の経験からではありますが、2次試験対策のTACメソッドがあわない可能性があります。また、実際の回答の仕方については、講師により異なります。そのため、2次試験の回答が自分で再現してかけそうだな、と思える講師の方を見つけられれば、2次試験対策も含めて、TACはお勧めできると思います。
その点では、2次試験対策をTACで受講し続けるかについては、TACの話を全て鵜吞みにせず、自分にあった講師がTAC内にいるのか、他予備校なのかは、少し時間をかけて検討してみるのが良いと思います。